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大量調理施設衛生管理マニュアルに基づく野菜の洗浄方法|現場で実際にやっている手順を解説

おつかれさまです。「大量調理の伊達メガネ」です。

大量調理施設で毎日のように行われる作業のひとつが、野菜の洗浄です。

一見すると単純な作業に見えますが、実はこの工程こそが、食中毒を防ぐための重要な分かれ道になります。

家庭では,

「使う直前に水で洗う」

という感覚でも問題になりません。

しかし、大量調理施設ではそうはいきません。

なぜなら、多くの人が同じ食事を口にするからです。

大量調理施設での「野菜の洗浄」は、自己流では許されない作業です。

なぜなら、

大量調理施設では、「大量調理施設衛生管理マニュアル」に基づいた明確な洗浄ルールが求められているからです。

・野菜は何回洗うの?
・次亜塩素酸ナトリウムは必須?
・中性洗剤で洗っていいの?
・加熱用と生食用で何が違う?

この記事では、大量調理施設衛生管理マニュアルに書かれている野菜の洗浄方法と、20年以上現場を見てきた調理員の実例をもとに、野菜の洗浄方法をお伝えします。

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大量調理施設衛生管理マニュアルにおける野菜の洗浄とは

大量調理施設衛生管理マニュアルって何?

大量調理施設衛生管理マニュアルは、集団給食施設において食中毒を防ぐための基準です。

対象となるのは、

  • 同一メニューで1回300食以上
  • または1日750食以上

を提供する施設。

※上基準を満たしていない施設(保育園など)の厨房も、大量調理施設衛生管理マニュアルを参考にして保健所から指導されます。

このマニュアルは「理想論」ではなく、現場で必ず守るべき最低限の安全ラインを示しています。

そして、野菜の洗浄もこのマニュアルに基づいて行う必要があります。

【結論】野菜の洗浄方法は「提供方法」で決まる

まず結論からお伝えします。

大量調理施設における野菜の洗浄方法は、

「加熱して提供するか」

「生で提供するか」

この違いで考え方が大きく変わります。

  • 生で提供する野菜 → 殺菌が必要
  • 加熱して提供する野菜 → 洗浄を基本に、施設判断

ここを混同すると、「やりすぎ」か「危険」か、どちらかに振り切れてしまいます。

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生で提供する野菜の洗浄方法【マニュアル準拠】

大量調理施設衛生管理マニュアルでは、生で提供する野菜について明確な記載があります。

野菜及び果物を加熱せずに供する場合には、流水で十分洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌した後、流水で十分すすぎ洗いを行うこと。

大量調理施設衛生管理マニュアル

特に、

  • 高齢者
  • 乳幼児
  • 抵抗力の弱い人

を対象とする施設では、殺菌が必須とされています。

生食用野菜の基本的な洗浄手順

マニュアルに基づく一般的な流れは次の通りです。

  1. 異物・腐敗・異臭がないか検品
  2. 検食用として50g程度を冷凍保存
  3. 適切な温度で保管
  4. 流水で3回以上洗浄
  5. 必要に応じて中性洗剤で洗浄
  6. 流水で十分すすぐ
  7. 次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌
  8. 再度流水ですすぐ
  9. 水切り
  10. 専用器具でカット
  11. 10℃以下で冷蔵保存

この一連の流れが、「大量調理施設衛生管理マニュアルに沿った野菜の洗浄」です。

ここまで読んで、

「正直、全部は守れていないかも…」

「これは工夫?それとも危ない省略?」

そう感じた方も多いと思います。

野菜の洗浄ひとつ取っても「どこを省いてはいけないか」は、単体の工程だけでは判断できません。

前後の工程、記録、体制まで含めて初めて「セーフかアウトか」が決まります。

▶︎ 大量調理施設衛生管理マニュアルを「全文ではなく、判断できる形」で整理したページはこちら

中性洗剤で野菜を洗うのは間違い?

ここで多くの人が驚くポイントがあります。

野菜を洗剤で洗うのは家事に不慣れな人のあるあるの笑い話なんですが、実は野菜を洗剤で洗えないと考えている人の方が非常識だったんです。

ご家庭にある中性洗剤の注意書きを見てください。

そこにも使用用途として「野菜・果物・食器・調理用器具」と記載されているんですよ。

何度か大量調理の職場で年配の方が洗剤で洗うことを馬鹿にしているのを見ましたが、それは大量調理施設衛生管理マニュアルが周知されていない証拠です。

大量調理施設では、

  • 土汚れ
  • 排気ガス
  • 農薬残留

などを物理的に落とす目的で使用されます。

ただし、常用するものではありません。

最近の野菜は清潔なものが多く、汚れがひどい場合に限定して使用するのが現実的です。

次亜塩素酸ナトリウム使用時の注意点

それから次亜塩素酸ナトリウムの扱いも注意が必要です。

必ず適切な濃度で使用しましょう。

殺菌に使用する場合は、濃度と時間を必ず守ることが絶対条件です。

  • 200mg/Lで5分
  • 100mg/Lで10分

これを超えても効果は上がりません。

むしろ品質低下や危険性が増します。

「強ければ安全」ではなく、「正しければ安全」

です。

次亜塩素酸ナトリウムについては「次亜塩素酸ナトリウムで野菜を洗うのは危険?知っておきたい安全な使い方」でも伝えています。

あと、必ず守って欲しいのが洗浄後の取り扱いです。

調理(加熱)を前提にした食材とは別の器具や保管場所を使用しましょう。

包丁、まな板、冷蔵庫などです。

そのまま(加熱なし)で利用者さんに提供することを意識した作業が必要となります。

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大量調理で加熱用の野菜の洗浄は?

では、加熱して提供する野菜はどのようにして洗浄するかになるのですが...。

これまでの「大量調理の伊達メガネ」の経験からいうと施設ごとで野菜の洗浄方法が違うんです。

同じ法人内でも施設が違えば野菜洗浄の段取りも違ってました。

つまり厨房の設備によって変わってきます。

冒頭で家庭では独自ルールでやっていると言いましたが、大量調理の職場も厨房設備によって洗浄方法が変わってきます。

そして大量調理施設衛生管理マニュアルには加熱時としての明確な記載を見つける事が出来なかったんです。

なので職場によっては、加熱して提供する野菜も殺菌を必ずしている場合もあります。

ならば、何が正解かというと...保健所の方の指示に従うというのが正解になります。

野菜洗浄に問題があれば保健所の方から指摘されるので改善するという事です。

ここで、よく出てくるのがこの疑問です。

「じゃあ、うちの職場は普通なの?」

「これって、ちゃんとした運用?」

この答えは、野菜洗浄だけを見ても出ません。

大量調理施設衛生管理マニュアルを全体像として見たときに、初めて線引きができます。

▶︎ 大量調理施設衛生管理マニュアルを「全文ではなく、判断できる形」で整理したページはこちら

これだけだと「じゃあどうするんだ?」となるので、これまで経験したよくある野菜の洗浄方法をお伝えします。

ただ、保健所の方から指摘はされなかったですが、担当する方で変わってきますので参考程度に見てくださいね。

リアルな現場の野菜の洗浄方法

先ほどもお伝えしたとおり、野菜の提供方法で洗浄の仕方は変わってきます。

ここでは加熱を前提にした野菜の洗浄方法をご紹介します。あくまで「大量調理の伊達メガネ」の経験からお伝えしますので、保健所の方から指摘があれば従ってくださいね。

大量調理施設の野菜洗浄手順

野菜の洗浄は、土や汚れに農薬の残留物に細菌などを取り除くためにおこないます。それらを意識した作業が重要となります。

次亜塩素酸ナトリウムなどの洗浄液は使う職場と使わない職場があります。基本的に加熱する事が前提なので洗浄液を使わなくてもよいとは思います。

ただ今回は使った場合の洗浄の流れをお伝えします。

前準備(納品時の検収)

洗浄より前工程である納品時に確実に野菜の状態を確認しておく事も重要です。傷んだ野菜が入っていると他の野菜もダメになってしまいます。確実にチェックして問題のある野菜を入れないようにしましょう。

1回目の洗浄

水を張ったシンクに野菜を入れます。一番汚れている外側の大きな汚れを落とします。シンクの中でザブザブと汚れを落として水で流しながら野菜をあげます。

2回目の洗浄

1回目とは別のシンクに食品用の洗浄液を適切な濃度で用意します。そこに野菜を下処理して入れていきます。例えばキャベツなら半分に切って芯を落とす、大根なら皮剥きや葉の部分を落とし、葉物なら根っこを落として洗浄液の入った水に浸します。その後、流水で洗浄液を落としながら野菜をあげます。
※使用する洗浄液によって浸す時間は違ってきますが、10分ほどつけることが多かったです。

3回目の洗浄

洗浄液につけた野菜を再度水を張ったシンクに入れます。そこでもシンク内でザブザブと野菜を洗って水で洗い流しながら野菜を引き上げます。残留している洗浄液や野菜の内側に入った汚れを意識しましょう。

洗浄後の野菜の処理

野菜を切ってからしっかり洗うことも重要ですが、野菜の切りくずなのか汚れなのか異物なのかわからない状態になっている事が多いです。

何も処理されていない野菜は、その前の状態をどうするかがとても重要です。

ここまで洗浄してから野菜の切り込み作業に入っていきます。

フードスライサーや包丁による手切りなど作業内容によって適切に野菜を処理していきます。

大量調理での包丁技術について知りたい方は「給食で使う野菜の切り込み!大量調理に包丁の技術は必要ないの?」で紹介していますのでご覧ください。

野菜の洗浄不足による食中毒事例

生野菜の提供がもたらすリスクというのは、想像しているより食中毒のリスクがあります。

家庭では肉や魚などは加熱をしっかりしないと危ないとは感じていると思います。ですが、野菜や果物は基本的に生のまま食べれるので問題ないと考えがち。

ですが、その食材に菌やウイルスが付着している可能性は無視できないんです。

結果として洗浄不足による食中毒というのは毎年のように報告されています。

キャベツによる腸管出血性大腸菌(O157)感染

  • 年: 2009年
  • 場所: 北海道
  • 概要: キャベツがO157に汚染されており調理後に感染が拡大。野菜の洗浄と取り扱いに問題がありました。
  • 感染ルート: 調理場での洗浄不十分によるO157汚染。

きゅうりによる腸管出血性大腸菌(O157)感染

  • 年: 2011年
  • 場所: 埼玉県
  • 概要: 生のきゅうりが原因で小学校で多数の児童が感染。調理場での衛生管理不足が指摘されました。
  • 感染ルート: 調理場での洗浄不十分によるO157汚染。

大根によるサルモネラ感染

  • 年: 2015年
  • 場所: 福岡県
  • 概要: 生の大根を食べた後にサルモネラに感染した事例。調理前の洗浄が不十分だったと推定されました。
  • 感染ルート: 調理前の洗浄不十分によるサルモネラ汚染。

生野菜の提供を見直し

生の野菜による食中毒のリスクを無視できなくなった為、サラダや和え物などに使われる野菜もボイル(加熱)した後に流水やブラストタイラー(急速冷却機)で冷まして使用しています。

「大量調理の伊達メガネ」が所属していた職場も昔は生で提供していたのが今では加熱が必須となりました。

それから知り合いの職場も含めて加熱しないで提供しているという話は聞いたことがないです。

もしかしたら「大量調理の伊達メガネ」が知らない職場ではあるかもしれませんが、多くの施設では加熱して提供しています。

和え物やサラダの加熱や冷却に関しては「大量調理の和え物を成功させるための温度管理ガイド」にて詳しく説明してありますのでご覧ください。

まとめ:野菜の洗浄は基本が大切

大量調理施設における野菜の取り扱いは食品の安全を確保する上でとても大切です。

しっかりと野菜を洗浄することは食中毒のリスクを最小限に抑え利用者に安全な食事を提供することにつながります。

また、野菜の取り扱いというか食材の取り扱いには注意点があります。

  • 野菜を洗浄する前後で手を洗うこと。
  • 洗浄用の器具と調理器具を区別すること。
  • 野菜と調理済み食品や生の肉とは別に取り扱い別の器具を使用すること。
  • 使用する水は飲料可能な清潔な水を用いること。

これらの基本的ですが重要なポイントを守ることで、野菜を介した食中毒のリスクを大幅に減らすことができます。

それと重要なのが、野菜の洗浄は、大量調理施設衛生管理マニュアルのほんの一部にすぎません。

でも、この一部で違和感を感じたなら、他の工程でも同じズレが起きている可能性があります。

マニュアルを最初から読む必要はありません。

大量調理施設衛生マニュアルの超要点をまとめたページを用意しています。

▶︎ 大量調理施設衛生管理マニュアルの解説ページを見る

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