
介護の現場で大活躍する「刻み食」。
でも、いざ作るとなると
「大きさの目安がわからない」
「手作業が大変すぎる」
と悩んでいませんか?
大量調理の伊達メガネです。今回は、現場歴20年の給食調理員の目線から、
「刻み食をフードプロセッサーでどう効率よく安全に作るか」
をまるごと解説します。
さらに、
「刻み食の大きさの目安」
「極刻みとの違い」
などの基本知識から、現場での道具選び、具体的な使い方のコツまで、しっかり押さえてお届け。
読み終わる頃には、「もう刻み食づくりで迷わない!」と思えるような情報をたっぷり詰め込んでいます
ではさっそく、基本からいきましょう!
刻み食とは?大きさの目安と分類をやさしく解説
「刻み食ってなんとなく聞いたことあるけど、実際どこまで細かくすればいいの?」という方も多いはず。
まずは、刻み食や極刻み食にミキサー食との違いや、大きさの目安について解説します。
施設ごとに基準が違うこともあるので、「これが正解!」ではなく、「こんな考え方もあるんだ」と思いながら読んでみてくださいね。
刻み食・極刻み食・ミキサー食の違いって?
給食や介護の現場では、食事の形状を食べる人に合わせて変えるのが当たり前です。
その代表が「刻み食」ですが、実はこれ、一言でいっても段階がいろいろあるんです。
| 食形態 | 特徴 |
|---|---|
| 通常食 | 一般的な固形食。咀嚼・嚥下に問題のない方向け。 |
| 刻み食 | 食材を細かく刻んで提供。咀嚼力が弱い方向け。 |
| 極刻み食 | さらに細かく、ペーストに近い状態。舌でつぶせる程度。 |
| ミキサー食 | 完全にペースト状。ほとんど噛む力がなくても飲み込める。 |
ポイントは、その人の「かむ力」「飲み込む力」に合わせること。
見た目が似ていても、その人に合ってない形状だと逆に危険です。
「大きさ」の目安はどれくらい?
よく聞かれるのが「何ミリくらいに刻めばいいの?」という質問。
あくまで目安ですが、現場ではこのように使い分けています。
- 刻み食(粗刻み):1cm~5mm角程度(そぼろ状やみじん切り)
- 極刻み食:2~3mm角以下(ほぼ舌でつぶせる大きさ)
ただし!
ここで大事なのが、「すべての施設で同じ基準ではない」ということ。
病院や高齢者施設、保育園など、それぞれの現場で食べる人の年齢や体調が違うため正解はひとつじゃないんです。
現場での対応例いろいろ
たとえば、高齢者施設では「とろみをつけた極刻み食」がメインでも、保育園では「細かく刻んだ炒め物」が中心なんてことも。
さらに、同じ刻み食でも「硬さやまとまり」によって評価が分かれることもあります。
だからこそ、調理する私たちは「この人にとって、どの大きさ・形が安全か?」を常に考えなきゃいけないんです。
いつ刻むの?調理前?調理後?
これは職場や料理によって様々です。
ある職場では下処理の段階で刻み用に切った食材を用意して調理することもあれば、別の職場では調理した料理を刻む場合もあります。
また、料理のよっては調理前と調理後に刻むかを決めてる場合もあります。
判断基準としてはいろいろありますが、対象となる人の数によって分ける場合が多いかなと思います。
例えば100人に刻み食を提供する場合と5人だけ提供する場合ではどうでしょう?
5人だけなのに、わざわざ食材を刻んで別で調理するためのコストをかけるのはどうなのかなーって。
大量調理の伊達メガネが多く経験したのは調理後に刻むことです。
基準は目安。大切なのは「食べる人に合わせること」
刻み食の大きさに「絶対の正解」はありません。
でも、「食べやすく、安全で、おいしい」食事を届けたいという気持ちは、どの現場でも共通です。
次は、そんな刻み食をどうやって効率よく安全に刻むか?に迫っていきます。
刻み食に適した道具とは?包丁だけじゃもう限界!
刻み食を毎日作るとなると、「包丁だけじゃ追いつかない…」という声が現場でよく聞こえてきます。
刻み食に適した道具を比較しながら、「時短・衛生・安全」の観点からどれが使いやすいのかを解説。
「フードプロセッサーって本当に必要なの?」と迷っている方にも、ヒントになるはずです。
包丁・チョッパー・フードプロセッサー、どれが一番いいの?
刻み食づくりに使われる代表的な道具は、以下の3つです。
| 道具 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 包丁 | 手作業でのカット | 細かい調整ができる | 労力・時間がかかる、バラつきやすい |
| チョッパー(手動・電動) | ハンドル式でみじん切り | 小量なら◎、収納に便利 | 均一性にやや欠ける、大量には不向き |
| フードプロセッサー | 電動で一気に刻む | 時短&均一、衛生的 | 初期コスト・洗う手間がある |
結論から言うと、「量」と「安全性」を求めるならフードプロセッサー一択です。
特に病院や高齢者施設に保育園など、毎日何十人分も仕込む現場では包丁だけでは本当に限界があります。
時短と衛生は「プロセッサー」でしか手に入らない
包丁は確かに慣れがあればスピードも出ますが、それでも人の手には限界があります。
- 刻み作業が1時間→30分に短縮(3品×100食)
- 包丁によるケガや交差汚染のリスクが激減
- 誰が使っても均一な仕上がりで品質安定
現場からは「フードプロセッサーがないとやってられない!」という声がめちゃくちゃ多いんです。
「じゃあどんなフードプロセッサーがいいの?」という疑問が自然にわいてくる
とはいえ、「どれを選んでいいか分からない」という方も多いはず。
- 刃の形状や回転スピードは?
- 耐久性は?
- 音の大きさは?(福祉施設や保育園では意外と重要!)
そんな方のために、実際に現場で刻み食づくりに活用されているフードプロセッサーを紹介した記事があります。
こちらの記事(現場歴20年の調理員が選ぶ!フードプロセッサーおすすめ3選)は家庭向けの紹介がメインではありますが参考になりますよ。
私自身も長年使ってきた中で「これはおすすめ!」と太鼓判を押せる機種だけをピックアップしてます。
フードプロセッサーで刻み食はここまで楽になる!現場での実用例と注意点
フードプロセッサーを使うと、「刻み食づくりが一気に楽になる」というのは事実。
でも、やり方を間違えると誤嚥リスクが上がったり、食材がダメになることもあるんです。
実際の現場での成功例・失敗例を交えながら、「使ってよかった!」と思える工夫や、注意しておきたいポイントをご紹介します。
煮物などそのまま刻めて圧倒的な時短!
まず、フードプロセッサーの最大のメリットはスピードです。
煮物を刻む場合で考えると包丁だと、
- 汁と具をザルとボールを使って分ける。
- 具を一塊ずつ、まな板にとって包丁で刻んで鍋(又はボール)に戻す。
- 全て刻み終えたら汁を刻んだ具と合わせる。
一回で刻む量が少なく包丁やまな板にザルなど洗い物も増えて大変です。
フードプロセッサーで刻む場合は、
- 調理が終わった「具+汁」を、そのままフードプロセッサーへ投入。スイッチを数秒回すだけでOK。
フードプロセッサーのサイズにもよるが、施設や保育園など100人規模の現場でよく使っているクイジナート(1.9L)だと4、5人分を一気に刻めます。
クイジナートを含むフードプロセッサーについては先ほどご案内したこちらの記事で紹介していますのでご覧ください。
- 現場のメリット
- 包丁で刻むより圧倒的に早い!
- 手指への負担が減り、ムラも出にくい
- 一度の操作で一気に刻めるから大人数分も楽チン
- おすすめの場面
- 煮物・味噌汁の具
- 野菜のあんかけ系
- 炒め物などは出汁を少し足して
フードプロセッサーが苦手な場面もある
芋類(じゃがいも、里芋など)やかぼちゃなど、やわらかい食材をフードプロセッサーで刻むとドロドロになってしまいます。
そのような食材は少量で短時間で上手いことやるか、包丁で刻む方がいいでしょう。
注意したいポイント
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 汁気の少ないものは出汁を追加 | 汁気が少ないと刃に当たらないことが。必要に応じて、少量の出汁や水を足しましょう。 |
| 芋類はドロドロに注意 | フードプロセッサーで回しすぎるとピューレ状になるので、短時間か包丁で処理。 |
| 量と回転数のバランス | あまり大量に入れると刻みムラが出るので、数回に分けて刻むのがおすすめ。 |
| 衛生管理もしっかりと | 使った後は即分解・洗浄。特に汁気が残ると衛生面に注意が必要です。 |
特に注意したいのがこの2つ
- 回転時間は「数秒」で見極める
→刻みすぎないよう、「チョイ回し→確認→また少し」のステップが基本。 - 食材の下処理はちゃんとする
→筋張った部分、皮、芯などはあらかじめ取り除くことで、機械への負担も減ります。
使い方の工夫ひとつで「商品クオリティ」に変わる
フードプロセッサーをうまく活用すると、厨房の業務が効率化するだけでなく食事のクオリティも安定します。
- 毎回同じ大きさ・形で出せる
- 誤嚥リスクを抑えられる
- 作る側のストレスが減る → 離職率も下がる(これホントに大事)
本当に現場がラクになった声も!
「包丁で30分近くかかってた作業が、フードプロセッサーなら10分で終わるようになりました!」
「手が痛くならず、仕事が楽になった」
といった声が、現場から多数寄せられています。
「ただ刻む」だけじゃない、厨房を支えるパートナーとしてのフードプロセッサー。
そう考えると、ちょっと見方が変わってきますよね。
極刻み食の作り方と「やりすぎリスク」の落とし穴
次は極きざみについてです。
極刻み食は、ただ「細かく刻めばいい」というものではありません。
やりすぎると、逆に誤嚥リスクを高めてしまうこともあります。
極刻み食の正しい作り方や適切な大きさの目安、そしてやりすぎリスクにどう向き合うかを、現場視点で解説します。
あわせて「調整できる道具」がどれだけ大切かも見えてきますよ。
極刻みとはどのくらいの大きさ?
「極刻み」とは、舌でつぶせるレベルの細かさが目安です。
大きさでいうと、約2〜3mm以下の粒状。
目視ではほとんどそぼろよりも細かい印象です。
とはいえ、「ミキサー食」との違いはしっかり押さえましょう。
| 食形態 | 食感 | 対象者 |
|---|---|---|
| 極刻み食 | 舌でつぶせる程度の粒状 | 咀嚼が弱い人、でも飲み込む力はある人 |
| ミキサー食 | 完全ペースト状 | 嚥下困難な人、飲み込む力も弱い人 |
つまり、極刻みは細かすぎず、まとまりがあることがポイントなんです。
極刻みの正しい作り方:現場でのステップ
実際に私が現場で実践している、極刻み食づくりの基本ステップをご紹介します。
極刻み食の作り方ステップ
- 食材をやわらかく加熱調理(例:野菜ならスチーム加熱してから調理、肉は鶏胸肉使用など)
- 食材を2〜3cmにカットしておく(プロセッサーに入れやすく)
- 水分を調整しながらフードプロセッサーへ
→入れすぎるとペースト状になるので注意! - 短時間で数回パルス回転(チョイ回し→確認→再度)
- まとまりや粘度を確認しながら仕上げる
ポイントは、「均一に細かく、でもとろみすぎないように調整すること」。
まとまりがある=口の中でバラけず、誤嚥しにくいという意味でも重要です。
やりすぎリスク=安全を超えて不快になる
現場でよくある失敗が、「心配だからもっと細かくしよう」という思いから、極刻みを通り越して「どろどろ」にしてしまうこと。
これ、実はかなり危険なんです。
- 粒がなくなる → 咀嚼せずに飲み込む癖がつく
- 食欲が落ちる → 食事が「楽しくないもの」に
- 嚥下タイミングがずれてむせやすくなる
つまり「安全にしよう」と思ってやったことが、逆効果になるケースもあるんです。
「全部を極刻みにしない」選択肢もある
ここで少し視点を変えてみましょう。
本当にすべてを極刻みにする必要があるのか?
- 例えば「葉物は極刻み、豆腐はソフトなままで」
- 「一品だけ極刻み、あとは通常の刻みで彩りを」
- 「料理全体にとろみをつけて、多少粒があっても安全にする」
このように、「調整できることこそ現場の柔軟性」です。
刻み食調理の現場で求められる「効率」と「安全性」
刻み食の調理は、「安全に食べてもらう」ための繊細な作業。
一方で現場では、「大量」「短時間」「少人数」という厳しい条件が当たり前です。
そんな日々の中でどうやって効率を上げ、安全性を保っているのか、そしてフードプロセッサーの役割がなぜ重要なのかを、現場目線でご紹介します。
時間との勝負!仕込みが鬼のように多い現場
例えば病院や介護施設では、1日に30人〜100人分以上の刻み食を作ることも珍しくありません。
しかも、毎日違う献立、アレルギー対応あり、職員の休憩時間まで見越して調理を回さなければいけない…。
そうなると、1分1秒が勝負なんです。
こんなスケジュール、よくある一例です。
| 時間帯 | 作業内容 |
|---|---|
| 7:30〜8:30 | 材料の検品・下処理・調理準備 |
| 8:30〜10:30 | 調理本番(加熱・味付け・刻み) |
| 10:30〜11:30 | 盛り付け・配膳準備・衛生チェック |
ここで包丁だけで刻み食を仕込むとなると、時間も体力も足りません。
調理員の腰と手が悲鳴をあげる現実
包丁作業って、想像以上に手首・肩・腰に負担がかかるんです。
- 毎日5kg以上の野菜を刻む
- 手元に集中しすぎて前屈み → 腰痛の原因に
- 右手に腱鞘炎、左手にしびれ…
「調理員=体力勝負」と言われがちですが、器具をうまく使えば身体の負担は確実に減らせます。
実際、フードプロセッサーの導入で退職者が減った現場もあるくらいです。(誰にでも出来る作業になった結果)
フードプロセッサーが「安全性」にも貢献している理由
「効率」はもちろんですが、安全面でもフードプロセッサーは欠かせません。
なぜなら…
- 刃物によるケガのリスクが激減
- 手袋やエプロンの毛髪・異物混入も防げる
- 食材のばらつきがなくなり、誤嚥防止につながる
さらに、洗浄・消毒も部品単位で分解して対応できるため、衛生面の管理も徹底しやすいというメリットがあります。
「誰でも使えて、誰でも均一にできる」環境づくり
人材不足が深刻な今、ベテランじゃなくても回せる厨房が求められています。
フードプロセッサーを使えば…
- パートさんでも同じ品質が出せる
- 一人あたりの仕込み量を軽減できる
- 「人によって仕上がりが違う」問題が解消される
これはまさに、現場全体の生産性を底上げする視点=快適な環境設計とも言えます。
ここまで読んでくださった方は、「じゃあ、現場で実際にどんなプロセッサーが選ばれているの?」という疑問を持たれていると思います。
そんな方のために、こちらの記事(現場歴20年の調理員が選ぶ!フードプロセッサーおすすめ3選)が家庭向けがメインですが参考になります。
まとめ:刻み食づくりは「道具選び」で9割決まる
ここまで刻み食の基礎から極刻みのリスク、道具の選び方まで解説してきました。
すべてに共通するのは、「どんな道具を選ぶかで、作業の質と安全性が大きく変わる」ということ。
最後に、記事全体を振り返りながら、なぜフードプロセッサーが刻み食調理において重要なのかをまとめてお伝えします。
刻み食は人より道具で決まる
「刻み食をきれいに作れるのはベテランだけ」なんて言われていることも。
でも今は、技術を支える道具の存在によって経験年数にかかわらず安定した調理が可能になっています。
実際、現場でこんな声も増えています。
- 「毎日の仕込みがラクになった!」
- 「厨房の人手が減っても、まわせるようになった」
- 「仕上がりの差がなくなって安心」
これはすべて、「フードプロセッサーを使いこなしている」からこそ実現できているんです。
調理員の身体を守り、現場を支える「もうひとりの手」
フードプロセッサーは、ただの機械じゃありません。
- 手首や腰への負担を軽減してくれる
- スピードと均一性で時間を生み出してくれる
- 作業者に“余裕”を与え、より安全な調理を可能にする
つまり、調理員にとってのもうひとりの手なんです。
厨房を助けてくれるアイテムはフードプロセッサーだけではありません。
ミキサーやブレンダーにチョッパーなどの道具があります。
使い分けや特徴などについてはこちらの記事(フードプロセッサーとミキサーの違いとは?)で紹介していますので読んでいってね。
最後に
ここまで読んでくれて刻み食にフードプロセッサーはいいなと思ってくれたと思います。
ですが、この刻み食なんですが大きな問題がある食形態なんです。
実は、多くの現場で刻み食の提供をやめているんです。
刻み食の問題についてはこちらの記事で紹介していますのでご覧ください。











