こんにちは「大量調理の伊達メガネ」です。
給食の大量調理では、和え物に使用する野菜も全て加熱した後に冷まして使用する事が多いです。
なぜかというと「安心安全」のためにです。
加熱することによって細菌やウイルスによる食中毒を防止しています。
ただ、時々思うんですよ。
野菜は生のまま提供した方が栄養もあるし、食感も良いんだけどなーって。
でも給食の大量調理において一番重要なのは「安心安全」です。
「リスクは最小限に」です。
大量調理における和え物の温度管理の重要性
給食の大量調理では、一度に多くの人々に安全で美味しい料理を提供するため温度管理が重要となります。
そして、食中毒の原因の多くは和え物です。
生のままでの提供では、ウイルスや細菌が付着している可能性があります。
加熱する場合でも、冷ます際に細菌が増殖しやすい温度帯になります。
加熱調理後、食品を冷却する場合には、食中毒菌の発育至適温度帯(約20°C ~50°C)の時間を可能な限り短くするため、冷却機を用いたり、清潔な場所で衛生的な容器に小分けするなどして、30分以内に中心温度を20°C付近(又は60分以内に中心温度を10°C付近)まで下げるよう工夫すること。この場合、冷却開始時刻、冷却終了時刻を記録すること。
大量調理施設衛生管理マニュアル
和え物は適切な温度管理を怠ると、食品の品質が低下し食中毒のリスクが増大します。
給食の大量調理では一度に大量の食材を扱うため、一つのミスが大規模な健康被害を引き起こす可能性があります。
なので、和え物の温度管理は「安心安全」を確保するための基本中の基本となります。
適切な加熱と冷却をして確実な温度管理のもと調理をしましょう。
大量調理の和え物の調理工程と温度管理
和え物の調理工程は、食材の準備、適切な加熱と冷却、そして調理後の保存という段階に分かれます。
それぞれの工程でのポイントをお伝えしていきます。
食材の準備と下処理
食材の準備段階では、新鮮な材料を選び適切に下処理を行うことが重要です。食材を洗浄する際には、流水でしっかりと洗い流し汚染物質を除去します。
詳しくは「リアルな現場の野菜の洗浄と大量調理施設衛生管理マニュアル」で紹介していますのでご覧ください。
適切な加熱と冷却方法
加熱する際は、食材の種類に応じた適切な温度で加熱することが重要です。ただ多くの職場では「安心安全」を重要視して85℃以上になるように加熱しています。
なぜ85℃かというとノロウイルス対策です。
2.加熱調理食品の加熱温度管理 加熱調理食品は、別添2に従い、中心部温度計を用いるなどにより、中心部が75°Cで1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90°Cで 90秒間以上)又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認するとともに、温度と時間の記録を行うこと。
大量調理施設衛生管理マニュアル
加熱の際には均一に熱を通すことが重要です。大量の食材を一度に加熱する場合、熱が均等に行き渡らないことがあります。
そのため、調理器具というか回転釜に多めの水を入れて加熱する事が重要です。少ない水を沸騰させて加熱しても、大量の食材を入れると温度がすぐに下がってしまいます。
そして、調理後は迅速に冷却することが求められます。
ブラストチラー(急速冷却器)を使用することで、短時間で食材の温度を低下させ細菌の繁殖を防ぎます。
温度が10度以下になるように冷却します。(30分以内に中心温度を20°C付近、又は60分以内に中心温度を10°C付近)
冷却の際には、食材を小分けにして冷却することで効率的に温度を下げることが可能です。
また、ブラストチラー(急速冷却器)がない職場もありますが、その場合は清潔な容器に冷水を入れその中に食材を浸すことで迅速に冷却できます。
とにかく迅速に冷ますことが重要です。
調理後の保存温度の管理
調理後の和え物は、適切な温度で保存することが必要です。
調理が終了した食品は速やかに提供できるよう工夫すること。調理終了後30分以内に提供できるものについては、調理終了時刻を記録すること。また、調理終了後提供まで30分以上を要する場合は次のア及びイによること。
大量調理施設衛生管理マニュアル
ア 温かい状態で提供される食品については、調理終了後速やかに保温食缶等に移し保存すること。この場合、食缶等へ移し替えた時刻を記録すること。
イ その他の食品については、調理終了後提供まで10°C以下で保存すること。この場合、保冷設備への搬入時刻、保冷設備内温度及び保冷設備からの搬出時刻を記録すること。
冷蔵庫での保存が推奨され設定温度は4℃以下にしています。(一般的な冷蔵庫は4℃以下に設定されているようです)
保存温度の管理には、冷蔵庫や冷凍庫の温度設定が重要です。
冷蔵庫の温度は4度以下、冷凍庫の温度は-18℃以下に設定し、定期的に温度を確認することで、適切な保存環境を維持できます。
多くの職場では作業開始時と終了時に温度の確認をしています。
また、保存する際には、食材を密閉容器に入れて保存することで、他の食品との交差汚染を防ぐことができます。
大量調理の和え物の温度管理に適した道具と設備
大量調理での和え物の調理には、適切な道具と設備が必要です。ここでは、温度管理に関連する道具とその使用方法をお伝えします。
温度計の種類と校正方法
温度計には、デジタル温度計やアナログ温度計、赤外線温度計など様々な種類があります。
特に、デジタル温度計は精度が高く、使いやすいためおすすめです。
温度計の校正は、調理中の正確な温度測定を確保するために欠かせません。
校正は、氷水や沸騰水を使用して行います。
氷水の場合、温度計を氷水に浸し表示が0度を指すか確認します。
沸騰水の場合は、温度計を沸騰水に浸し表示が100度を指すか確認します。
これらの方法で温度計が正確に測定できているか確認し、不正確な場合は再調整を行います。
デジタル温度計も様々なタイプのものがあります。近いうちにおすすめのデジタル温度計をご紹介しますね。
冷却設備について
ブラストチラー(急速冷却器)や冷凍庫は、給食の大量調理において重要な設備です。
特にブラストチラーは、短時間で食材を冷却することができ食中毒のリスクを下げる事ができます。
ブラストチラーがない職場は冷却するのが大変だったなー。
冷却設備を選ぶ際には、性能や容量、使いやすさを考慮することが重要です。量が多くて入らないこともありますからね。
それからブラストチラーの場合は、冷却速度や冷却能力が高いものを選ぶと楽ですよ。
また、冷凍庫も食材の長期保存に適しており、保存温度を-18度以下に設定することで品質を保つことができます。
確実に日常点検をおこなって温度の確認をしましょう。
冷却設備を効果的に使用することで、食材の鮮度と安全性を保つことができます。
まとめ:和え物の温度は「加熱85℃、冷却10℃、保存10℃」で安心安全
給食の大量調理における和え物の温度管理は、食品の安全性と品質を保つために非常に重要です。
調理工程の各段階での温度管理、適切な加熱と冷却方法、調理後の保存温度の管理を徹底することで、食品の安全性を確保することが出来ます。
「大量調理の伊達メガネ」は、安心安全を第一に考えて以下の温度を目安にしています。
- 加熱時は85℃(ノロウイルスを考慮)
- 冷却時は10℃(ブラストチラーで急速冷却)
- 保存は10℃以下(冷蔵庫での保存)
それから和え物に混ぜる調味料も気をつけましょう。
砂糖を醤油で溶かしたり酢の酸味を飛ばすときに加熱します。そのまま和え物に混ぜてしまうと、せっかく冷却した意味がなくなってしまいます。
確実に調味料も冷まして使用しましょう。
「安心安全」に和え物の調理に取り組んでください。