こんにちは「大量調理の伊達メガネ」です。
給食の大量調理では冷凍ブロッコリーをよく扱いますが、野菜のボイル(茹でる)の中で難しさNo1が冷凍ブロッコリーです。
今回は冷凍ブロッコリーを家庭での茹で方や茹で時間を紹介しつつ大量調理ではどのように加熱するのが良いのかをお伝えします。
冷凍ブロッコリーは油断すると茹ですぎてすぐボロボロになってしまいます。
それをふせぐ一番簡単な方法はスチームコンベクション(スチコン)で蒸すことです。
スチコンは設定温度を一定に保って出来上がりもブザーで知らせてくれますからね。
スチコンの種類やブロッコリーの量によって蒸し時間は変わりますが、大体10分ほどでちょうどよく加熱することができます。
色も鮮やかで蒸すことにより栄養も残るのでオススメの調理方法です。
ですが大量にスチコンで蒸すのは少し大変です。多くの穴あきのホテルパンに入れるのも手間だし加熱後に洗うのも一苦労。
今回は冷凍ブロッコリーの正しい茹で方と、ブロッコリーの給食の献立についてご紹介します。
冷凍ブロッコリーを茹でるのが難しい理由
はじめに「なぜ冷凍ブロッコリーを茹でるのが難しいのか?」をお伝えします。
- 過度な茹で加熱による食感の損失:
- 冷凍ブロッコリーはすでに加熱処理されている事が多く茹でると柔らかくなりやすいです。茹で過ぎると、食感がふにゃふにゃになり食べづらくなります。
- 茹で時間の難しさ:
- 冷凍ブロッコリーは解凍してから茹でることなく直接茹でる必要があります。しかし、茹で時間を調節するのが難しいため茹ですぎや茹で足りないといった問題が生じやすいです。
- 茹で汁の温度変化:
- 一度に多くのブロッコリーを茹でると温度が下がり均一な加熱が難しくなります。一部のブロッコリーが過度に茹でられたり、一部が生のまま残ったりする可能性があります。
家庭での冷凍ブロッコリーの美味しい食べ方
まずは、家庭で冷凍ブロッコリーを美味しく食べるためのコツをお伝えします。
冷凍ブロッコリーを美味しく食べるコツは茹で方と茹で時間にあります。
家庭では大量調理と違い量が少ないので加熱の時間も変わってきます。
冷凍ブロッコリーは茹ですぎると水っぽくなり固すぎると食べにくくなります。
ここでお伝えするのは食感にこだわった2つの方法。
歯ごたえを残す方法と、やわらかく仕上げる方法です。
どちらも簡単なのでお好みに合わせて試してみてくださいね。
歯ざわりしっかり&フレッシュ
まずは、しっかりとした歯ごたえが欲しい方におすすめの茹で方。
冷凍ブロッコリーは冷凍のまま調理するのがポイントです。
解凍せずに茹でると色鮮やかでしっかりとした食感が残りますよ。
手順:
- 鍋にたっぷりのお湯を沸かします。
- 塩を少々加えると、ブロッコリーの色がきれいに出ます。
- 沸騰したら、冷凍ブロッコリーをそのまま入れます。
- 2〜3分間茹でます。この時間を守るのが食感を残す鍵!
- 茹で上がったらすぐにザルに取り、冷水にさっと通して、歯ごたえをキープ。
ポイント:茹ですぎないこと!個人的には2分半がベストです。短時間でサッと茹でることで、しっかりとした歯ごたえが楽しめます。炒め物やサラダにぴったりです。
柔らかくて甘さが引き立つブロッコリー
一方で、柔らかくて甘いブロッコリーが好きな方には少し長めに茹でる方法がおすすめです。
冷凍ブロッコリーの甘みが引き出されてホクホクとした食感に仕上がります。
手順:
- お湯をたっぷり沸かし、同じように塩を少々加えます。
- 冷凍ブロッコリーをそのままお湯に投入。
- 今度は、4〜5分茹でます。ブロッコリーの茎の部分が柔らかくなったらOKです。
- 茹で上がったら、冷水に通さずそのままザルに上げて水気を切ります。
ポイント:茎まで柔らかく茹でることで、ブロッコリーの自然な甘さがしっかり感じられます。これなら、小さなお子さんやお年寄りでも食べやすいですよ。スープやマヨネーズを添えてそのまま食べても美味しいです。
スチコンで冷凍ブロッコリーを大量調理する方法
それでは大量調理での冷凍ブロッコリーの加熱方法をお伝えします。
冷凍ブロッコリーをスチコンで加熱するのは手間だとは言いましたが、もし時間があるならスチコンでの加熱はおすすめです。
これまでの経験から失敗が少ないのはスチコンでの加熱です。
なのでスチコンでのブロッコリーの加熱方法もお伝えしますね。
スチコンでの冷凍ブロッコリーの調理時間と温度
スチコンで冷凍ブロッコリーを調理する際の基本的な時間と温度設定は、以下の通りです。ただ量やスチコンの個体差で変わってきますのでご注意ください。
最初は少なめの時間で加熱して様子を見て追加で加熱してください。
- スチームモード:
- 温度: 100℃
- 時間: 10-12分
スチームモードは、ブロッコリーを均一に加熱し、栄養価を保ちながら鮮やかな緑色を維持するのに最適です。
この方法で調理すると、ブロッコリーは柔らかくなりすぎず、適度な歯ごたえを保つことができます。
- コンビモード(スチーム+コンベクション):
- 温度: 180℃
- 時間: 8-10分
コンビモードは、スチームとコンベクションの両方を利用するため、外は少しカリッと、中は柔らかく調理されます。
この方法は、ブロッコリーに軽い焼き色をつけたい場合に最適です。
冷凍ブロッコリーを大量調理で茹でる方法と茹で時間
次に冷凍ブロッコリーを大量調理で茹でる方法をお伝えします。
家庭だと少量なので冷凍ブロッコリーをお湯に入れても温度の変化が少ないですが、大量だと急激に温度が下がります。
なので家庭でボイルする時よりも長く加熱をしますが、冷凍ブロッコリーは既にある程度加熱処理されていることが多いため過度に調理すると色や食感が損なわれることがあります。
特に茹でる場合は注意が必要ですが、基本的には家庭で茹でる時と一緒です。
茹で時間を短く
- 冷凍ブロッコリーはすでにブランチング(さっと茹でること)されていることが多いため、茹でる時間は短くて済みます。
量によって茹でる時間はかなり変わってきますが、10キロ以上を茹でる場合は約5分ほどはボイルします。
解凍は不要
- 冷凍ブロッコリーを使用する際は、解凍せずにそのまま調理に使用します。解凍すると水分が出てしまい調理時に食感が悪くなる可能性があります。
多めの沸騰したお湯
- なるべく多めのお湯をしっかり沸騰させてから冷凍ブロッコリーを入れます。これにより、温度の急激な変化でブロッコリーの色が鮮やかで食感も良好に保たれます。また多めのお湯を使用することでブロッコリーを均一に茹でます。
茹でた後にすぐ冷ます
- 大量調理では冷やして食べるものはボイル後は必ず冷水やブラストチラーで急速に冷まします。それにすぐに冷水にくぐらせることで色や食感を保つことができます。特にサラダなどの見た目を重視する場合におすすめです。
【給食のレシピ】ブロッコリーの調理
150人分を想定していますが提供する量や献立、主菜や副菜などによって量は変化します。あくまで目安として参考にしてください。
ブロッコリーのガーリックソテー
材料:
- 冷凍ブロッコリー 12kg
- にんにくチューブ 200g
- オリーブオイル 2kg
- 塩 70g
- こしょう 適量
- レモン汁 少々
作り方:
- 冷凍ブロッコリーを、さっと茹でて冷水にとって冷ます。
- 回転釜にオリーブオイルとにんにくを入れて熱します。
- にんにくに火が通ったらブロッコリーを加えてサッと炒める。
- 塩、こしょうで味を調え、最後にレモン汁を振りかける。
ブロッコリーの冷製サラダ
材料:
- 冷凍ブロッコリー 12kg
- トマトダイス缶 5kg
- 玉ねぎ(薄切り) 2.5kg
- オリーブオイル 1.2kg
- レモン汁 800g
- 塩 90g
- こしょう 適量
作り方:
- 冷凍ブロッコリーと玉ねぎを、さっと茹でて冷水にとって冷ます。
- ボウルにオリーブオイル、レモン汁、塩、こしょうを混ぜてドレッシングを作る。
- ブロッコリー、トマトダイス、玉ねぎをドレッシングと和える。
ブロッコリーのキムチ炒め
材料:
- 冷凍ブロッコリー 12kg
- キムチ 6kg
- 豚肉(薄切り)8kg
- ごま油 700g
- 醤油 300g
- みりん 1kg
- 酒 1kg
作り方:
- 冷凍ブロッコリーを、さっと茹でて冷水にとって冷ます。
- 回転釜にごま油を熱し、豚肉を炒める。
- 肉に焼き色がついたら、キムチを加えて炒める。
- ブロッコリーを加えてさっと炒め、調味料を回し入れて味を調える。
冷凍ブロッコリーの栄養
冷凍ブロッコリーに限らず冷凍野菜全般に対して、栄養価が低くなるという印象がありますが、実際には冷凍自体が栄養価を大きく損なうことは少ないです。
市販の冷凍野菜は通常、旬の時期に収穫されたものが使われており旬の野菜は栄養が豊富です。
そのため、旬を過ぎた生野菜よりも冷凍野菜のほうが栄養価が高いこともあります。
栄養価が低下する主な原因は、冷凍に向いていない食材や冷凍前の下処理にあります。
つまり、冷凍によって栄養が多少失われていても冷凍野菜の方が良い場合もあります。
まとめ:冷凍ブロッコリー茹ですぎも悪くない?
扱いづらい冷凍ブロッコリーですが、逆に茹ですぎた方が喜ばれる職場もあります。
それは「福祉施設の厨房」です。いわゆる「老人ホーム」の方へ提供する給食です。
利用者の方は高齢なため基本的に柔らかく調理する必要があるからです。
ただし、見た目がぐちゃぐちゃにならないように気をつけてください。
誤解を恐れずに表現するなら、「大量調理の伊達メガネ」が経験してきた「給食の大量調理」の中で初心者や未経験者でも対応しやすい職場です。
なぜ福祉施設が未経験者にオススメなのかは別のページで紹介していますので興味のある方はご覧ください。