こんにちは「大量調理の伊達メガネ」です。
卵は良質のタンパク質が多く、ビタミンやミネラル等の栄養素も含まれているとても優秀な食材です。
そして卵は様々な料理に使える食材です。
親子丼、茶碗蒸し、卵スープなど給食の大量調理でも卵はよく使います。
そんな優秀な食材である卵ですが食中毒のリスクも抱えています。
栄養価が高いということは、その取扱いが悪ければ食中毒を起こす細菌が増殖しやすくなる環境となってしまいます。
特にサルモネラ菌による感染は注意が必要です。
卵の衛生を確保し食中毒を予防するためには、納品や下処理などのすべての段階で衛生的な取扱いが必要です。
今回は実際の現場の作業の流れとともに下処理の方法についてお伝えします。
卵を割る方法と割る場所だけでも読んでいってね。
卵の検収と保存方法
卵を検収する際には、専用のエプロンを着用して使い捨ての手袋を装着しておこないます。
検収の内容は温度チェックと殻にひび割れ等の異常がないことを確認します。また、消費期限も確実に確認しておきましょう。
時々見かけるのが、納品した卵を検収しておいたままになっている事です。
卵は非常に傷みやすい食材です。
温度管理が不十分だと細菌が増殖しやすくなりますので速やかに検収を済まして原材料用の冷蔵庫で保管をしてください。
特に夏場なんかは最悪です。30℃近くの廊下に放置されている時は眩暈がしました。
それから冷蔵庫の温度も確認してくださいね。
時々エラーで止まっている時があります。
殻付卵は10℃以下、液卵(割った卵)は8℃以下で保管します。
大量調理施設衛生管理マニュアル
殻付卵 10°C以下 液卵 8°C以下 凍結卵 -18°C以下 乾燥卵 室温
卵用の道具の取り扱い
卵用の道具は他のものとは別で用意して共有しないようにしてください。使った後も速やかに洗浄して汚染の範囲を広げないようにしましょう。
サルモネラ菌は乾燥に強く、調理器具などに残った菌が14日後でも生存していたというデータもあります。
洗い方は、他の調理器具を洗うときと同じように洗浄して殺菌庫で乾燥させます。
器具、容器等の使用後は、別添2に従い、全面を流水で洗浄し、さらに80°C、5分間以上の加熱又はこれと同等の効果を有する方法注3で十分殺菌した後、乾燥させ、清潔な保管庫を用いるなどして衛生的に保管すること。
なお、調理場内における器具、容器等の使用後の洗浄・殺菌は、原則として全ての食品が調理場から搬出された後に行うこと。
また、器具、容器等の使用中も必要に応じ、同様の方法で熱湯殺菌を行うなど、衛生的に使用すること。この場合、洗浄水等が飛散しないように行うこと。なお、原材料用に使用した器具、容器等をそのまま調理後の食品用に使用するようなことは、けっして行わないこと。
大量調理施設衛生管理マニュアル
卵の下処理について
卵を割って撹拌する際は必ず以下のことを確実に実行して汚染の範囲を広げないようにします。
- 下処理室(汚染作業区域)の所定の場所で、ラップなどを引いた上で卵専用容器と割卵用ボール等を使用して卵を割っていきます。また専用のエプロンや手袋をして作業をしましょう。
- 卵を割る際は、殻の混入を防止するために割卵用ボールの横側(平面)で割ったほうがよいです。机や角などで割ると殻が飛び散ったり汚染のリスクの範囲が広がるからです。
- 1個ずつ割卵用ボールに割った卵を入れて、鮮度や血液の混じりがないかを確認して問題がなければ、卵専用容器に移していきます。
- 卵を割った後、すぐに使用しない場合は原材料用の冷蔵庫で保管します。撹拌をしてしまうと細菌が増殖しやすくなり危険です。
- 使用直前に、卵専用の泡だて器で撹拌してから原材料50gを採取して保管します。場合によっては殻の混入を防ぐために、こし器を使って殻を取り除きましょう。
卵を殻のまま調理場(非汚染作業区域)に持ち込むのは洗っていない野菜や処理していない肉や魚を持ち込むのと同様です。
調理場(非汚染作業区域)で野菜を洗って切らないですよね?
調理場(非汚染作業区域)で肉を切り分けないですよね?
調理場(非汚染作業区域)で魚を切り分けないですよね?
そして、冷凍の食材(肉、魚、野菜など)を調理場(非汚染作業区域)で解凍しないですよね?
卵を割って撹拌までの下処理の作業は必ず下処理室(汚染作業区域)で行ってください。調理場(非汚染作業区域)には、そのまま調理に使用できる状態にしてから持ち込みましょう。
まとめ:卵を正しく扱って「安心安全」を
卵の取り扱いについては保健所の方も注視します。それだけ食中毒のリスクが高い食材と認識されているからです。
保健所の方が来る日には卵を使わないようにしている職場もありましたが、常日頃から正しく卵を扱っていれば特別なことではないんです。
リスクをゼロにする事はできませんが、リスクを減らす事はできます。
食中毒というのは、どれだけ衛生管理を徹底していても起きてしまうことがあるのではと考えています。
ですが、「正しく取り扱っていて問題が起きた場合」と「間違った取り扱いをして問題が起きた場合」ではどちらの方が大きな問題となるでしょうか?
日頃から正しく作業するというのは、利用者さんだけでなく職場を守ることにも繋がります。
つまり「あなたの仕事がなくなってもいいんですか?」ということです。
だからこそ、決められたことを正しく実行しましょう。
「安心安全」な取り扱いで、あなたの生活も「安心安全」にしましょうということです。