こんにちは「大量調理の伊達メガネ」です。
最近、食中毒のニュースをよく耳にしませんか?
どんなに気を付けていても、ちょっとした手違いで食中毒になることがあります。
なので、どの食べ物が特に危険なのかを知っておくことは重要なんです。
給食の大量調理は、同じ食事を多くの人に提供しているのでリスクの範囲が広いんです。
そのため、大量調理衛生管理マニュアルがあり保健所の指導も厳しいので一般の飲食店よりも厳格な対応をしています。
つまり我々大量調理の調理師は日頃から多くの食材を扱いその食材の安全対策をしているプロ中のプロになります。
今回は、そんな給食の大量調理15年の「大量調理の伊達メガネ」が食中毒になりやすい食べ物ランキングとその対策についてお届けします。
安全で美味しい食事を楽しむために、ぜひお役立てください!
食中毒とは?その基本と症状
食中毒の主な症状
食中毒は、細菌やウイルスに寄生虫、それから化学物質に汚染された食べ物や飲み物を取り込むことで起こります。
食中毒の症状はいくつかありますが、主なものは下記となります。
- 腹痛: 突然の激しい腹痛が襲ってきます。お腹が痛くて動けない!なんてことも。
- 下痢: 水のような下痢が続くことが多いです。トイレから離れられなくなることも…。
- 吐き気・嘔吐: 食べたものを全部吐いてしまうような吐き気や嘔吐が見られます。
- 発熱: 高熱が出ることもあります。身体がだるく、何もできない状態に。
- 倦怠感: 全身がだるく、疲労感が続くことがあります。何もする気が起きない…。
これらの症状は、原因となる微生物や毒素の種類によって異なりますが、通常は数時間から数日間続きます。
重症の場合は、病院での治療が必要になることもあります。
食中毒の原因となる細菌やウイルス
食中毒を引き起こす主な細菌やウイルスには、以下のようなものがあります。
- サルモネラ菌: 鶏肉や卵に多く含まれ、加熱が不十分な場合に感染することがあります。
- 腸管出血性大腸菌(E. coli O157): 生肉や未殺菌の乳製品から感染することが多いです。
- ノロウイルス: 冬に多く見られ、二枚貝や汚染された水から感染することがあります。
- カンピロバクター: 鶏肉に多く含まれ、生や加熱不足の肉から感染します。
- 黄色ブドウ球菌: 手や鼻に常在する菌で、食品の取り扱い不備によって感染することがあります。
これらの細菌やウイルスは、適切な調理や保存方法を行うことで感染リスクを大幅に減らすことができます。
ちなみに細菌とウイルスの違いの一つとして、細菌は食べ物の中で増えてウイルスは体内で増えるということです。
食中毒になりやすい食べ物ランキング
特に食中毒のリスクが高い食べ物をランキング形式で紹介します。これらの食べ物は加熱に注意するだけでなく触った手や保管方法も特に気をつけましょう。
第1位: 生の魚介類
日本の食文化である寿司や刺身は、新鮮な魚介類を使用しますが、その鮮度管理が不十分だと食中毒のリスクが高まります。
また、加熱する場合も手洗いなどの不足によってウイルスが食器などに付着して食中毒のリスクとなります。
特に牡蠣などの二枚貝はノロウイルスが含まれていることがあります。信頼できる業者やお店で購入し、適切に処理することが重要です。
第2位: 鶏肉
鶏肉はサルモネラ菌やカンピロバクター菌が含まれていることが多く、加熱が不十分だと食中毒の原因になります。
特に鶏刺しや生焼けの鶏肉を食べる際はリスクが高いです。
中心温度が75℃以上(推奨は85℃)になるまでしっかりと加熱することが必要です。
中心温度については「大量調理マニュアルの中心温度について徹底解説」にて紹介していますのでご覧ください。
第3位: 生卵
日本では生卵を食べる文化がありますが、生卵や半熟卵にはサルモネラ菌が含まれている可能性があります。
特に、卵かけご飯や半熟のオムレツなど、生で食べる場合は注意が必要です。
購入後は冷蔵庫で保存し、賞味期限内に消費することが推奨されます。
卵の取り扱いについてはプロの現場向けでではありますが「卵の保存方法や下処理【大量調理施設の衛生管理】」でも紹介していますので参考になるかもです。
第4位: 生野菜(特にサラダ)
生野菜は健康に良い一方で、土壌や水からの汚染が原因で食中毒を引き起こすことがあります。
特にサラダに使用される野菜は、十分に洗浄されていないとリスクが高まります。
しっかりと洗浄し、必要に応じて消毒することが重要です。
生野菜の食中毒リスクは意外と高いんです。
給食向けの大量調理マニュアルにも追加されているぐらいですからね。興味のある方は「リアルな現場の野菜の洗浄と大量調理施設衛生管理マニュアル」で紹介していますのでご覧ください。
第5位: 牛肉(特にユッケ、タタキ)
日本では生肉を楽しむ文化もありますが、牛肉には腸管出血性大腸菌(E. coli O157)が含まれていることがあります。
ユッケやタタキなどの生肉料理を食べる際は新鮮な肉を使用し、加熱して食べる場合も適切な調理と衛生管理を徹底することが重要です。
食中毒の原因となる意外な食べ物
食中毒のリスクが高いと一般に知られていない意外な食品も存在します。
果物
特にメロンやベリー類は、表面が汚染されている場合があります。
これらの果物は洗浄が不十分だと食中毒を引き起こすことがあります。皮をむく前にしっかりと洗浄することが重要です。
加工食品
ハムやソーセージなどの加工食品も、製造過程で菌に汚染されることがあります。
これらの食品は冷蔵保存し、賞味期限内に消費することが推奨されます。
パン
パンは意外にもカビが生えやすく、カビ毒が食中毒の原因となることがあります。
カビが生えた部分だけでなく、全体を廃棄することが安全です。
冷蔵庫の中に潜む食中毒の危険
冷蔵庫は食品を安全に保存するための重要な設備ですが、適切に管理されていないと食中毒のリスクを高めることがあります。
温度管理
冷蔵庫の温度は4℃以下に設定し、冷凍庫は-18℃以下に保つことが理想です。
定期的に温度を確認し、適切な温度が維持されているかチェックしましょう。
交差汚染の防止
生肉や生魚は専用の密閉容器に入れ、他の食品と接触しないように保管します。
また、調理済みの食品や生食する野菜や果物とは別の棚に置くことが推奨されます。
定期的な清掃
冷蔵庫内を定期的に清掃し、こぼれた液体や食品の破片を取り除くことが重要です。
特に、棚や引き出しの隅に菌が繁殖しやすいため、念入りに掃除しましょう。
食中毒になりやすい食べ物の正しい保存方法
適切な保存方法を守ることで、食品の安全性を高めることができます。
冷蔵保存
冷蔵庫に入れる食品は、購入後すぐに冷蔵庫に入れることが重要です。
特に生鮮食品は冷蔵保存が基本です。
また、冷蔵庫内で食品を詰め込みすぎないように注意しましょう。
空気の循環が悪くなると、冷却効果が低下します。
冷凍保存
冷凍保存が可能な食品は、購入後すぐに冷凍庫に入れることで長期保存が可能です。
特に、肉類や魚介類は冷凍保存することで、菌の繁殖を防ぐことができます。
ただし、冷凍焼けを防ぐために密閉容器や専用の冷凍保存袋を使用しましょう。
室温保存
保存が効く乾物や缶詰は、直射日光や高温多湿を避けて保存します。
特に、開封後は冷暗所での保管が推奨されます。
また、保存期間が長い食品でも定期的に消費期限を確認し、期限が近いものから優先的に消費するようにしましょう。
食中毒の予防方法と対策
最後に、食中毒を予防するための基本的な方法を紹介します。
手洗いの徹底
調理前、食事前、トイレの後、ペットと触れ合った後など、こまめに手洗いを行いましょう。
手指の清潔を保つことが、食中毒予防の第一歩です。
調理器具の衛生管理
調理器具は使用後すぐに洗浄し、定期的に消毒を行いましょう。
特に生肉や魚介類を扱った後は、他の食品と接触しないように注意します。
適切な加熱
食材を十分に加熱することで、食中毒の原因となる菌やウイルスを殺菌することができます。
特に肉類や魚介類は中心温度が75℃以上になるまで加熱することが必要です。
賞味期限の確認
食品の賞味期限を定期的に確認し、期限が切れた食品は消費しないようにしましょう。
また、開封後は早めに消費することを心がけます。
外食時の注意
外食する際は、清潔な店を選び、特に生食が提供される場合は新鮮な食材が使われているか確認することが重要です。
また、提供された料理が適切に加熱されているか、自身で確認することも大切です。
これらの予防策を実践することで、食中毒のリスクを大幅に減らすことができます。
安全で健康な食生活を送るために、日常のちょっとした注意が大きな効果をもたらします。
食中毒の知識を深め、正しい食材の取り扱いと保存方法を習慣づけることで、楽しい食事時間を安全に楽しみましょう。
まとめ:正しい知識が食中毒を防ぐ
食中毒は私たちの日常生活に潜むリスクですが、正しい知識と対策を持つことで大幅に防ぐことができます。
ランキングに挙げた食べ物には特に注意し、適切な調理と保存方法を守りましょう。
安全で美味しい食事を楽しむために、日々のちょっとした工夫が大切です。
日常の小さな努力が、大きな安心につながります。
ぜひ今回の内容を参考にしてください。