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大量調理には多くの職場があります!学校給食も大量調理の一つですよ

皆さんにとって「大量調理」を馴染み深い言葉で説明しますと「給食」のことです。

「給食」といえば学校で食べたと思います。多くの子どもと先生が同じ食事を食べます。それが「大量調理」で用意されたものです。

ですが学校で提供されるものだけが「給食」と呼ばれるわけではないのです。「給食」とは学校だけでなく様々な場所で提供されているのです。

そんな「給食」すなわち「大量調理」の職場はどんなところにあって、どのように社会に貢献しているのかをご紹介します。

はじめに

冒頭で「給食」とは学校以外でも提供されていると説明しましたが、「給食」を調べてみると「小・中学校,工場,病院などで児童,生徒,従業員,患者などに食事を供すること,また,その食事をいう。」と出てきます。

つまり、「給食」とは学校や工場などに所属している人たちに食事の提供をすることです。学校や工場などは多くの人がいるので大量に調理する必要があります。

また、国が定めている大量調理施設衛生マニュアルには一定の食数以上を調理する場合を大量調理としています。

同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設に適用する。

大量調理施設衛生マニュアル

しかし多くの病院や老人ホーム、保育園では提供する食数に満たなくても「大量調理施設衛生マニュアル」にそって調理や衛生管理を行なっています。

当サイトでいう「大量調理」は、食数が100食など少ないものは厳密に言うと「大量調理」ではありませんが、仕事の内容としては大きく変わりはないので合わせてご紹介していきます。

大量調理の職場

「給食」の意味から分かるように職場は、学校や工場、病院などがあります。また、それ以外でも、老人ホームや保育園などの施設、それから弁当(産業給食=企業相手に弁当販売)なども「大量調理」と言われています。

献立は職場に所属している栄養士が立てます。調理員は栄養士が立てる献立をもとに調理をするので、食材や調味料の種類や量、それから調理方法も決まっています。

ただ同じ大量調理でも業種が違えば特徴も異なってきますので簡単に説明します。

老人ホームの大量調理

老人ホームの給食は、高齢者の健康状態や食事摂取の特性に合わせて計画され、栄養バランスや調理方法に特別な注意が払われます。

食材の適切な調理と柔らかい食事
老人ホームでは、歯や嚥下機能の低下が見られることがありますので、食材の適切な調理が重要です。また、柔らかい食事や煮込み料理など、咀嚼しやすく、摂取しやすい食事が提供されます。

硬い食材(筍やごぼうなど)は工夫して柔らかく調理するか使用せずに提供します。

また、様々な「食形態」があります。通常の食事から一口大にカットした食事、ミキサーで流動食にした食事などです。

老人ホームの給食は、高齢者の健康と生活の質を向上させることを目指しており、そのために様々な工夫が凝らされています。

病院の大量調理

病院の給食は、患者の健康状態や治療に合わせて調整され、栄養バランスと安全性が重視される特徴があります。

栄養バランスとカスタマイズ
病院の給食は、患者の健康状態や治療計画に基づいて栄養バランスが考慮されます。栄養士や医療スタッフが患者のニーズを把握し、カスタマイズされた食事プランを提供します。特に、栄養補助食品や特別な食事制限が必要な場合、それに応じて対応されます。

特に腎臓や心臓が悪い方への食事には、使用する調味料を正確に計って使用します。調理者には、実験などに近い正確さが求められます。

病院の給食は患者の健康回復や治療プロセスに密接に関わっており、そのため慎重かつ専門的なアプローチがとられています。

保育園の大量調理

保育園の大量調理の特徴は「離乳食」がある事です。

離乳食は、子どもの月齢に合わせて調理する必要があります。離乳食には初期から完了期まで4種類あります。

離乳食初期(生後5~6ヶ月頃)への調理は裏ごしした食材を使った柔らかい離乳食を出しています。

それから、離乳食中期(生後7~8ヶ月頃)や離乳食後期(9~11ヶ月頃)と離乳食完了期(12〜18ヶ月頃)を提供します。

子供の年齢にあった食事を提供するのが保育園の大量料理の特徴です。

学校の大量調理

学校に通う子どもや先生に提供される食事です。学校給食については文部科学省で説明されています。

肥満、朝食欠食といった子供の食生活を改善するために、給食を通して、食に対する正しい知識と望ましい食習慣を身につけることができるように学校でも食育に取り組んでいます。

その献立は、「学校給食摂取基準」に基づき、管理栄養士の資格を持つ栄養教諭等により考えられています。

文部科学省

学校給食は、少し薄味ではありますが子供の健康や成長を考えて料理が提供されています。

それから、自治体や学校の規模や数にもよりますが、一つの調理施設で数千食以上の調理を行ないます。大量調理の中でも特に多くの食数を調理します。

その為、多くの調理員や作業者が集まって仕事をしているのが学校給食です。

また、学校給食の衛生管理に関しては「学校給食衛生管理基準」に基づいて行われています。これは「大量調理施設衛生マニュアル」より厳格なルールが定められています。

工場(会社)の大量調理

いわゆる社員食堂のことです。他の大量調理と大きな違いは、会社に属する人が全て利用してくれるわけではないと言う事です。

学校や病院では、子どもや患者の方が必ずと言っていいほど、食事を利用してくれます。しかし社員食堂は違います。中には自分で食事を用意する人もいます。

そのため、料理の美味しさや価格次第で利用者に変動が生じる事です。価格については働く側からすると関係がないかもしれませんが、「美味しさ」については働く側の能力です。

つまり、他の大量調理よりも「美味しさ」で売り上げが変わってくるのが社員食堂です。他の大量調理では少し煮込み過ぎたり、味が薄くても売上に変化はありません。多少おいしくなくてもクレームですみます。

しかし社員食堂は違います。おいしくなければ利用者数が減って売上に反映されてしまいます。

その為、調理者には一定以上の能力が求められることが多いです。他の大量調理では調理師の資格がなくても調理をしている事が多いですが「社員食堂」は技術がある人が集まっている事が多いです。

また、提供方法に様々な種類があります。なので、「社員食堂は経験があるから一緒でしょ?」と言うわけにはいかないのが「社員食堂」です。

提供方法

定食方式

一般的な形式の社員食堂です。いくつかのメニューが用意されていて、社員がその中から注文し食事ができます。

カフェテリア方式

事前に主食・主菜・副菜・汁物・デザードなど数十種類を用意します。社員はその中から好きなものを選んで食事ができます。

弁当方式

外部委託の業者と契約して弁当を配達してもらいます。弁当方式に関しては、次の「弁当(産業給食)の大量調理」で説明します。

上記で紹介したのは「社員食堂」の形態の一部です。これ以外にも運営や提供方法が違うものがあります。

弁当(産業給食)の大量調理

産業給食とは簡単に説明すると企業の社員に弁当を届けることです。他の大量調理との多きな違いは「弁当箱に詰める」「各会社に運搬する」事です。

多くの大量調理では、大きな鍋などに入れてまとめて渡したり、各器に盛り付けて提供します。ですが、弁当の場合は一つの入れ物に各料理を盛り付けて出します。

そのため、ベルトコンベアで流れてくる弁当箱に各ポジションに人を配置して料理を入れていきます。

車の工場などで見られるラインでの仕事をイメージしてみるといいかもしれません。多くの人が同じ工程の中で作業するので一人のミスで全ての人の作業が止まってしまいます。

それから、弁当には運搬があります。弁当を食べるまでの時間が長いので料理が傷まないように冷却してから弁当箱に詰めます。複数の企業に人数分の弁当箱を車に乗せて運んで下ろすので時間がかかります。

昼に食べてもらう為には9時ぐらいには出発することが多いです。

冷却や盛り付け、運搬に時間がかかるので早朝というか深夜からの仕事になります。朝2時や3時から仕事が始まるのも珍しくありません。

まとめ

いかがでしたか?大量調理といっても業種によって特徴が違う事がわかったと思います。

様々な大量調理の職場はありますが、未経験の方ににおすすめなのが「老人ホームの大量調理」です。

大量調理の中でも家庭料理の考えに近いので気をつけることが同様である事が多いです。また、一緒に働く人も比較的少ないので人とのトラブルも少なめです。

他の大量調理は無理でも「老人ホームの大量調理」だから出来ている人は多くいます。だからといって他の大量調理より劣っているわけではありません。ただ気をつけるポイントや意識する事が少ないだけです。

「老人ホームの大量調理」にも、それなりに努力や工夫が必要で、やりがいも十分あります。

大量調理に限らず調理業界は転職が当たり前です。大量調理しか経験していない人でも2、3回は当たり前のように転職しています。

「大量調理に興味はあるけど、やった事ないし自信ないなー」という方は「老人ホームの大量調理」からはじめてみるのも良いのではと思います。

おすすめの理由を詳しく知りたい方は「給食の大量調理」の「職場の選び方」未経験者には介護施設がおすすめですで紹介していますのでご覧ください。

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