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【大量調理施設衛生管理マニュアルの果物消毒】実際の現場の方法

こんにちは「大量調理の伊達メガネ」です。

皆さんは給食の大量調理の厨房で果物が特別な食材ってご存知です?

なぜ、特別な食材なのかというと「生で提供」するからです。つまり加熱しないんですね。

最近の給食の大量調理ではサラダなどに使用される野菜もボイルして冷ましてから使用します。ほとんどの野菜が加熱をして提供されているんです。

ですが、果物だけはそうはいかないんです。

りんごやオレンジなどはカット作業に時間がかかるので早く洗浄や消毒を終わらせたいとは思いますが、生で提供するので安全な方法で洗浄や消毒をしなければなりません。

今回は、実際の現場での果物の洗浄方法や消毒についてをお伝えします。

大量調理施設ごとで違う果物洗浄と消毒

最初にお伝えしますが、果物の洗浄や消毒方法が現場ごとで違うんです。

「大量調理の伊達メガネ」は多くの厨房を経験してきましたが、現場ごとで違うので「このやり方が正しい」ということができないんです。

何も考えずにいると何が正解なのかがわからなくなるのが「果物の洗浄」なんです。

家庭ではどうでしょう?例えばバナナです。バナナを洗ってから食べてますか?

大量調理の厨房ではバナナを皮付きのまま提供する事が多かったですが、そのバナナをどのように処理していると思います?

一般的に考えるとすれば、買ってきたバナナは常温で保管しておいて食べるときに皮を剥いて食べますよね?

その考え方をそのまま取り入れている施設もありました。いいのかどうかは分かりませんが...。

他の選択肢とすれば皮がついたまま水洗いです。そして洗浄液につけるかどうかだと思います。

水洗いの場合だと流水で3回洗い流す方法が多かったです。

洗浄液を使用する場合は洗いと消毒を組みあわせての洗浄方法です。

現場ごとで全く違うんですね。

そして果物ごとでも違うんです。例えばスイカです。

バナナの場合は一人一本です。しかしスイカの場合はサイズや切り方にもよりますが1個で50人分ぐらいとれます。

つまり洗浄や消毒にかかる作業時間も変わってくるんですね。スイカは柔らかいスポンジに中性洗剤(食品用)をつけて擦ってから流水で洗いながす事が多かったです。

ただ言えることは保健所の指導に従うことが何より大切です。指導に従わずに独自の考えで洗浄や消毒をおこなうことだけは絶対にしないでくださいね。

大量調理施設衛生管理マニュアルの果物洗浄

まず、加熱しない果物を提供するのに重要なのは流水で十分洗浄する事です。

大量調理施設衛生管理マニュアルにはこう記載されています。

野菜及び果物を加熱せずに供する場合には、流水で十分洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌した後、流水で十分すすぎ洗いを行うこと。

大量調理施設衛生管理マニュアル

では、十分に洗浄するという事がどのような方法かというと、それについても記載されています。

1 衛生害虫、異物混入、腐敗・異臭等がないか点検する。異常品は返品又は使用禁止とする。

2 各材料ごとに、50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に密封して入れ、-20°C以下で2週間以上保存する。(検食用)3 専用の清潔な容器に入れ替えるなどして、10°C前後で保存する。(冷凍野菜は-15°C以下)

4 流水で3回以上水洗いする。

5 中性洗剤で洗う。

6 流水で十分すすぎ洗いする。

7 必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌した後、流水で十分すすぎ洗いする。

8 水切りする。

9 専用のまな板、包丁でカットする。

10 清潔な容器に入れる。

11 清潔なシートで覆い(容器がふた付きの場合を除く)調理まで30分以上を要する場合には、10°C以下で冷蔵保存する。

大量調理施設衛生管理マニュアル

多くの方にビックリされるのが「果物を中性洗剤で洗うの?」です。

果物など食材を洗剤で洗うのは家事に不慣れな人のあるあるの笑い話なんですが、実は果物など食材を洗剤で洗えないと考えている人の方が非常識だったんです。

ご家庭にある中性洗剤の注意書きを見てください。そこにも使用用途として「野菜・果物・食器・調理用器具」と記載されているんですよ。

非常識なのは逆だったんですね。

何度か大量調理の職場で年配の方が洗剤で洗うことを馬鹿にしているのを見ましたが、それは大量調理施設衛生管理マニュアルを全く見ていない証拠なんですね。

ただ、スイカやオレンジなどは中性洗剤を使用して柔らかいスポンジで洗う事もありますが全ての果物で使用してはいないです。※オレンジの場合は汚れがひどいものだけ。

よくある果物の洗浄と消毒方法

果物の洗浄は汚れや農薬の残留物に細菌などを取り除くためにおこないます。生のまま提供する事を意識した作業が重要となります。

次亜塩素酸ナトリウムなどの洗浄液は使う職場と使わない職場がありますが、今回は使った場合の洗浄の流れをお伝えします。

「大量調理の伊達メガネ」は安心、安全が一番重要だと思っていますので使うことを推奨します。

  1. 1回目の洗浄
    水を張ったシンクに中性洗剤を入れて果物を入れます。ゴムの手袋をしてその上から専用の軍手をします。その状態でシンクの中でザブザブと洗い、目立つ汚れは軍手で擦ります。そして流水で洗い流しながら果物をあげます。
  2. 2回目の洗浄
    1回目とは別のシンクに食品用の洗浄液を適切な濃度で用意します。そこに果物を入れて浸します。使用する洗浄液で浸す時間は違ってきますが、10分ほどつけることが多かったです。その後、流水で洗浄液を落としながら果物をあげます。
  3. 3回目の洗浄
    洗浄液につけた果物を再度水を張ったシンクに入れます。そこでもシンク内でザブザブと果物を洗いましょう。そして流水の状態で15分ほど放置します。あまり短い時間だと洗浄液の独特な匂いが残ったままになるので問題ないか確認した上で水で洗い流しながら果物を引き上げます。残留している洗浄液や汚れを意識しましょう。

りんごやみかんにオレンジなどはこの方法で洗うことが多かったです。この方法なら作業効率も良く洗浄液も使うので安心して提供する事ができます。

ただスイカやメロンなどは先ほどお伝えした方法で洗っていました。※中性洗剤を使用して柔らかいスポンジで洗う。

くどいようですが、あくまで参考としてみてください。保健所の方の指導があれば必ず従ってくださいね。

ここまで洗浄してから果物のカット作業に入っていきます。果物によって適切に処理していきます。皮を剥くならピーラーを使って包丁で手切りしていきます。

まとめ:果物は洗浄液の消毒で安心だけど...

生のまま提供する果物は特別な対応が必要だと思います。

「大量調理の伊達メガネ」としては加熱の代わりが洗浄液かなーと考えています。

ただ、洗浄液を使うと独特の匂いが残るんですね。それが嫌で使いたくないという考えもよく分かります。

本当に独特の匂いがあるんですよ。

なので時間があるなら洗浄液を使わずに流水で何度も念入りに洗って提供したいんですが、限られた時間の中ではとても難しいんですね。

みかんとか100人へ提供するなら100個を3回も洗って流水で流すんですよ。300個あったら300個です。

他の野菜などの切り込みもある中でとても難しいのが現実です。

結果として洗浄液に頼った洗浄方法をやることが多いです。

皆さんは洗浄液の使用についてどう思います?「大量調理の伊達メガネ」は今でも悩みながら作業をしています。

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