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何気ない食材がむせる原因に?安全に美味しく食べるための工夫とアドバイス

こんにちは「大量調理の伊達メガネ」です。

「大量調理の伊達メガネ」は、福祉施設や病院の厨房での経験も多くあります。

今回は、これまでの経験から高齢者の方々が安心して食事を楽しむために、食事中にむせる原因やその対策についてお話したいと思います。

老人ホームや病院の食事については「食形態の分類や特徴と問題点について「病院や福祉施設の食事」」でもお伝えしていますのでご覧ください。

直営の厨房で働いていると誤嚥についてや食事介助などの勉強会にも参加しますのでいつの間にか詳しくなるんですよ。

むせることは、誰にでも起こり得ることですが高齢者や嚥下機能が低下している方にとっては特に気をつけなければならない問題です。

むせる原因とは?

まず、むせる原因を理解することが大切です。

むせることは、食べ物や飲み物が誤って気管に入る「誤嚥」が原因で起こることが多いです。

しかし、むせる原因にはいくつかの要因が絡んでいます。以下で詳しく見ていきましょう。

誤嚥とは何か?

「誤嚥」とは、食べ物や飲み物が正しい通り道である食道ではなく、誤って気管に入ってしまうことを指します。

通常、食べ物や飲み物は、飲み込む際に喉の奥から食道へと運ばれますが、誤嚥が起こると、気管に入ってしまい、むせることになります。

誤嚥が頻繁に起こると、肺炎などの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。

喉頭侵入と咽頭残留の違い

誤嚥に関連する問題として、「喉頭侵入」と「咽頭残留」があります。これらは似ているようで、少し違った現象です。

  • 喉頭侵入: これは、食べ物や飲み物が声帯まで入り込み、そこで止まる現象を指します。喉頭侵入は、必ずしも誤嚥を引き起こすわけではありませんが、むせる原因となることがあります。
  • 咽頭残留: これは、飲み込んだ食べ物や飲み物の一部が喉の奥に残ってしまうことです。残留物が後から気管に流れ込むと、むせたり、誤嚥したりするリスクが高まります。

加齢や病気による影響

加齢や特定の病気(例えば、脳卒中やパーキンソン病)は、嚥下機能の低下を引き起こし、むせるリスクを高めます。

年齢を重ねると、喉の筋肉が弱くなり、飲み込む力が低下します。

その結果、食べ物や飲み物が誤って気管に入る可能性が高まります。

むせやすい食べ物とは?

次に、どのような食べ物がむせやすいのかを見ていきましょう。これを知っておくことで、食事の際に注意すべき点が明確になります。

誤嚥しやすい食べ物ランキング

むせやすい食べ物は、いくつかの種類と特徴があります。特に誤嚥しやすい食べ物をランキング形式で紹介します。

  1. パン
    パンは乾燥していて、口の中で粉状になりやすいため、喉に詰まりやすいです。特にトーストしたものは飲み込みにくく、むせるリスクが高まります。
  2. ご飯
    ご飯は、冷めると粘り気が増し、喉にくっつきやすくなります。特に硬くなったご飯は、水分が少なく飲み込みにくいため、むせやすくなります。
  3. 豆腐
    豆腐は非常に柔らかく、つるっと喉に入り込みやすいです。特におぼろ豆腐などの崩れやすい種類は、噛まずに飲み込むと喉に詰まる危険があります。
  4. 芋類
    芋類(さつまいもやじゃがいもなど)は煮たり焼いたりすると柔らかくなりますが、内部が粘り気を持ちます。粘り気が強く、喉にくっつきやすく、固まりやすいので、飲み込みにくくなり、むせやすいです。
  5. ゆで卵
    ゆで卵は中がしっかりと固まっており口の中で滑りやすいです。白身は滑らかで、口の中で固まりやすく、特に飲み込みにくくなります。黄身も固まっていて、喉に詰まりやすく、むせる原因となります。
  6. あんこ
    あんこは甘くて粘り気があり、特にこしあんやつぶあんは口の中でしっかりと密着します。この粘り気が喉に残りやすく、飲み込みにくいです。粘度が高いため、誤嚥のリスクが高く、むせやすいです。
  7. レモン
    レモンの強い酸味が喉を刺激し、むせる原因になります。生で食べると特にそのリスクが高まります。
  8. 焼き海苔
    焼き海苔は非常に乾燥しており、薄くてパリパリとした食感が特徴です。この乾燥した食材は口の中で唾液と混ざったときに喉に詰まりやすいです。海苔の乾燥した部分が喉にくっつきやすく、飲み込みにくくなるため、むせやすいです。

高齢者が注意すべき食材

高齢者が特に注意すべき食材についても考えてみましょう。以下の食材は、日常的に摂取されることが多いですが、むせるリスクを高める可能性があります。

  • うどん
    うどんは長くて滑りやすく、噛まずに飲み込むと喉に引っかかりやすいです。特にツルツルとした食感が、誤嚥のリスクを高めます。
  • 枝豆
    枝豆は小さくてつるっとした食感があり、誤って飲み込むと喉に引っかかりやすく、むせることがあります。
  • 梅干し
    梅干しの強い酸味が口の中や喉を刺激し、唾液が一気に分泌されることで、むせやすくなります。特に乾燥したタイプの梅干しは注意が必要です。

水分の摂取時に注意が必要な飲み物

むせやすいのは固形物だけではありません。液体もむせやすい場合があります。以下に、水分摂取時に注意が必要な飲み物を紹介します。

  • 麦茶
    麦茶はさらさらしており、飲み込む際に勢いよく流れ込みやすく、誤嚥しやすいです。特に冷たい状態で飲むと、むせるリスクが高まります。
  • 味噌汁
    味噌汁はさらさらしており、特に温度が高いと喉に刺激を与え、むせる原因となります。温度や濃度を調整することで、むせるリスクを減らすことができます。
  • 柑橘系ジュース
    柑橘系ジュースは粘度が低く、さらさらしているため、勢いよく飲むと誤嚥しやすくなります。特に酸味がある場合、喉を刺激しやすくむせることがあります。

むせにくくする工夫と予防策

むせやすい食べ物や飲み物が分かったところで、むせにくくするための工夫や予防策を考えてみましょう。これらの方法を実践することで、安心して食事を楽しむことができます。

食事中の注意点

食事中にむせることを防ぐためには、いくつかの注意点を守ることが大切です。

  • 姿勢を正しく保つ: 食事中は背筋を伸ばし、椅子にしっかりと座ることが重要です。頭を少し前に傾けることで、喉の通りが良くなり、誤嚥を防ぎやすくなります。
  • 少量ずつ食べる: 一度に大きな口で食べるのではなく、小さな一口ずつ食べることで、むせるリスクを減らすことができます。焦らず、ゆっくりと食事を進めることがポイントです。
  • 飲み物を一緒に: 固形物を食べる際には、適度な水分を一緒に摂ることで、食べ物が喉をスムーズに通過しやすくなります。ただし、一気に大量の水分を摂るのは避けましょう。

食べる量や速度の調整

食事の際にむせることを防ぐためには、食べる量や速度の調整も大切です。

  • ゆっくり食べる: 食べ物を十分に噛んでから飲み込むことで、むせるリスクを減らすことができます。急いで食べると、食べ物が喉に詰まりやすくなるため、注意が必要です。
  • 一度に食べる量を減らす: 一口の量を減らし、食べ物が喉をスムーズに通過するようにしましょう。特に高齢者の方や嚥下機能が低下している方には、少量ずつ食べることが重要です。

食材の選び方と調理法

むせにくい食事を作るためには、食材の選び方や調理法にも工夫が必要です。

  • やわらかい食材を選ぶ: やわらかくて口の中で簡単に崩れる食材を選びましょう。例えば、柔らかく煮た野菜や魚、ふわふわの卵料理などが適しています。
  • 粘度を調整する: スープやソースなどの液体は、適度な粘度を持たせることで、喉にくっつかずにスムーズに流れやすくなります。片栗粉やゼラチン、それからトロミ剤を使ってとろみをつけるのも効果的です。
  • 一口サイズに切る: 食材をあらかじめ一口サイズに切り分けることで、飲み込みやすくなり、むせるリスクを軽減できます。

口腔ケアと嚥下訓練の重要性

むせるリスクを減らすためには、日常的な口腔ケアと嚥下訓練も欠かせません。

  • 口腔ケア: 毎日の口腔ケアを怠らないことで、口内の清潔を保ち、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。歯磨きやうがい、義歯の清掃などをしっかり行いましょう。
  • 嚥下訓練: 嚥下機能を強化するためには、嚥下訓練が有効です。専門家の指導のもと、定期的に訓練を行うことで、飲み込む力を向上させ、むせるリスクを減らすことができます。

むせた時の対処法と介助法

むせることが避けられない場合もあります。

そんな時にどう対処するかを知っておくことも重要です。ここでは、むせた時の対処法と介助法を紹介します。

高齢者のむせた時の対処方法

高齢者がむせた場合、慌てずに以下の対処法を試してみましょう。

  • 背中を優しく叩く: むせている高齢者の背中を優しく叩いて、気管に入った食べ物を出す手助けをしましょう。ただし、強く叩きすぎないように注意してください。
  • 少し前かがみに: 高齢者がむせた時は、少し前かがみにさせることで、喉に詰まったものが自然に外に出やすくなります。
  • 水を飲ませる: 少量の水を飲ませることで、喉に詰まったものを流す手助けをすることができます。ただし、大量の水を一気に飲ませるのは避けましょう。

自分でできるむせを防ぐ方法

むせやすいと感じる方は、日常生活の中で以下の方法を試してみてください。

  • 食事中は話さない: 食事中に話すと、喉に食べ物が詰まりやすくなります。食べ物を飲み込むまで、会話を控えることが大切です。
  • 小さな一口で食べる: 大きな一口で食べるのではなく、小さな一口ずつ食べることで、むせるリスクを減らすことができます。
  • 口をしっかり閉じる: 食べ物を飲み込む際には、口をしっかりと閉じることで、喉に詰まるリスクを減らすことができます。

周囲の人ができるサポート

むせやすい人をサポートするためには、周囲の人々も気をつけるべきポイントがあります。

  • 食事のペースを合わせる: 食事の際には、むせやすい人のペースに合わせて、一緒にゆっくりと食べるようにしましょう。
  • 適度な声かけ: 食事中にむせやすい人が落ち着いて食べられるように、適度な声かけを行いましょう。ただし、焦らせないように注意が必要です。
  • 姿勢の確認: 食事中の姿勢が正しいかを確認し、必要に応じてサポートしてあげることが大切です。

まとめ

食事中にむせることは、誰にでも起こりうる現象ですが、特に高齢者や嚥下機能が低下している方にとっては深刻な問題となり得ます。

むせる原因や対策を理解し適切な食材選びや調理方法、そして食事中の注意点を守ることで安全で楽しい食事時間を過ごすことができます。

今回ご紹介した方法を日常生活に取り入れ、むせることなく安心して食事を楽しんでいただければと思います。

万が一むせてしまった場合でも、落ち着いて対処することが大切です。

食事は楽しい時間であり続けるべきですから、むせるリスクを減らし健康的な食生活を送ってくださいね。

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